artscapeレビュー

とびだす/うつわ 桝本佳子の世界

2014年12月01日号

会期:2014/10/25~2014/11/30

たつの市立龍野歴史文化資料館[兵庫県]

陶芸における器と装飾の関係をテーマにした独創的な作品で知られる桝本佳子。彼女が、生まれ故郷の兵庫県たつの市で大規模な個展を開催した。桝本の作品には幾つかのタイプがある。ひとつは、《ガードレール/壺》など、装飾が器から飛び出す、外部から突き抜けるなどした作品、もうひとつは《壺/城》など、モチーフの形態が壺のアウトラインに沿って削られ、器の内と外が逆転してしまったかのような作品、そして《瓢箪壺》など、装飾モチーフを立体化した後、強引に器の形に圧縮する「圧縮紋」と名付けられたシリーズだ。本展ではそれらの作品20点が展示されただけでなく、会場の所蔵品から選ばれた、絵画、地図、民芸品などを一緒に並べ、双方を比較、あるいは見立てを行なう趣向も盛り込まれた。彼女の作品は一見ゲテモノじみているが、陶芸史への意識的な問いかけという点で好感が持てる。なお本展は、同時期に同地域で開催された「龍野アートプロジェクト2014」と連携した企画展である。

2014/11/01(土)(小吹隆文)

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