artscapeレビュー

服部しほりの日本画─か弱き蒼氓ども─

2014年12月01日号

会期:2014/11/08~2014/11/22

蔵丘洞画廊[京都府]

筆者が服部しほりの作品を初めて見たのは、確か2011年の京都市立芸術大学の卒業制作である。その圧倒的な運筆力と、鼻や耳に特徴がある個性的な人物表現、一種異様な世界観に、大層驚かされたものだ。その後何度か作品を見ているが、今回の個展を見ると、彼女の画力はますます充実している。特に腕や足の筋肉の描写が素晴らしい。聞くところによると、相撲部屋の稽古を見学させてもらい、制作に生かしているらしい。また、金屏風に描いた大作が1点あったが、この経験も今後の糧になるだろう。あとは作品の世界観にどれだけ普遍性を持たせられるかだ。今までの作品は確かにユニークだが、そうであるがゆえにひとり語りの印象が強い。たとえば主題や登場人物を美術史とリンクさせるなど、第三者の理解につながる糸口を設けてみてはどうだろうか。

2014/11/11(火)(小吹隆文)

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