artscapeレビュー
小松原智史 展 エノマノコノマノエ
2014年12月01日号
会期:2014/11/01~2014/12/21
the three konohana[大阪府]
大阪芸術大学在学中の2013年に、「第16回岡本太郎現代芸術賞展」特別賞を受賞した小松原智史。筆者はこれまでに彼の展示を何度か見たことがあるが、いずれも会期中に公開制作を行なう形式だった。公開制作は、有機的フォルムを直感的に描き、増殖させる彼の作風に適している。しかし、本展は画廊空間で完成作品を見せるオーソドックスな個展だ。果たしてどれだけのものを見せてくれるのだろう。期待と不安半々で出かけたのだが、その結果はこちらの期待を軽く上回るものだった。作品は大小さまざまで、最大の作品は極端に横長の画面を天井から円環状に吊るし、円環の内部に入って鑑賞するパノラミックなものである。他には、絵がキャンバスからはみ出て壁面にまで侵食した作品、レリーフ状の作品、半ば立体化した変形画面の小品と、それらを組み合わせた立体作品、そして初挑戦の小品などであった。本展により、小松原は通常の個展でも十分勝負できることを実証した。彼の今後の活躍が非常に楽しみだ。
2014/11/14(金)(小吹隆文)