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もしもの時のデザイン「災害時に役に立つ物や心のデザイン」展

2014年12月01日号

会期:2014/08/30~2014/11/24

印刷博物館P&Pギャラリー[東京都]

日本パッケージデザイン協会(JPDA)の会員100名が災害時における問題を解決するデザインの提案と、進化を続ける「もしもの時のデザイン」を紹介する展示会。全般的に共通する課題は、普段は出番がない(出番がないほうがよい)ものを、どのようにデザインするかということ。防災専用品であればコンパクトに保管・収納できることや、普段使わないものにどれほどコストを掛けられるかということが課題。コストの問題を解決する手段として、日常的に使用するものに防災用品として兼用あるいは転用できる機能を付加する提案が多く見られた。東日本大震災以降の特徴は、衣・食・住に加えて心の問題に重きがおかれてデザインされているところであろうか。避難所での生活をサポートし、他人とのコミュニケーションを補助する手段も目立つ。缶詰、レトルト食品、フリーズドライ食品、簡易食器など、心の問題は衣食住にも拡張されている。ペットとの避難生活の視点は、阪神淡路大震災のときには見られなかったのではないか。テーマは「災害時に役に立つ物や心のデザイン」であるが、与えられた課題に対してデザインでどのような答えを導き出すかというケーススタディとしても興味深い展覧会であった。[新川徳彦]

2014/11/24(月)(SYNK)

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