artscapeレビュー
ボストン美術館──華麗なるジャポニスム
2014年12月01日号
会期:2014/09/30~2014/11/30
京都市美術館[京都府]
19世紀後半から20世紀初頭にかけての西洋における「ジャポニスム」をテーマに、日本芸術が西洋の芸術家たちに与えた影響を探る展覧会。本展では、ボストン美術館が所蔵する同時代の絵画・日本の浮世絵・版画・工芸等の幅広い作品約150点が展示され、西欧での「ジャポニスム」の展開の様子が順に紐解かれていく。工夫されているのは、作品のイメージソースとなった日本の浮世絵・工芸がたくさん紹介されていること。芸術家たちが日本芸術をどのように取り入れたかについて比較・実見することができる。なんといっても見どころは初期ジャポニスムの時期の作、修復が完了した2メートルを超えるモネの大作《ラ・ジャポネーズ》(1876)。各セクションでジャポニスムの画家たちの作品を理解するための切り口が、「日本趣味(ジャポネズリー)・女性・都市生活・自然・風景」というように題され、最後のモネらの作品に至り「日本美術がいかに近代絵画の革新を導いたか」と結ばれる。印象派が展示の主眼であるゆえだろうか、もう少し新味のある示唆があってもよかったかもしれない。展示は絵画中心であるが、装飾工芸もある。工芸・デザインにおけるジャポニスムを再考するうえでも参考になる展覧会。[竹内有子]
2014/11/08(土)(SYNK)