artscapeレビュー
磯部昭子「DINNER」
2015年06月15日号
会期:2015/05/09~2015/06/07
G/P gallery[東京都]
磯部昭子は1977年生まれ。2001年に武蔵野美術大学映像学科卒業後、フリーランスとして主にファッション、広告のジャンルで活動している。今回のG/P galleryでの個展は、2012年の「u r so beautiful」(ガーディアン・ガーデン)以来2回目ということになる。
今回の展示は、カラフルでポップなテイストが強調され、視覚的なエンターテインメントとして充分に楽しめるものになっている。大小の作品18点をちりばめるインスタレーションも、うまくはまっていた。前回の個展では、スナップショット的な要素が大きかったのだが、今回は広告写真家の主戦場であるスタジオワークが中心となっているので、のびのびと力を発揮しているように見える。身体とオブジェとのトリッキーな組み合わせが彼女の持ち味なのだが、それを、楽しみつつ模索している様子が伝わってきた。
ただ、この種のファッショナブルな身体イメージの展開は、それこそ1920~30年代のマン・レイやアーウィン・ブルーメンフェルドの時代から積み上げられてきているものであり、このままだとそこに口当たりよくおさまってしまいそうな気もする。身体の壊し方、ずらし方に、ある種の節度を感じるのがもどかしい。ヴァリエーションを増やすのではなく、何か特定のモードに、もっと強烈にこだわっていくのもひとつのやり方だろう。うまく伸ばしていけば、もう一皮むける才能の持ち主なのではないかと思う。
2015/05/15(金)(飯沢耕太郎)