artscapeレビュー

試写「未来をなぞる──写真家・畠山直哉」

2015年06月15日号

ぼくが最初に見た畠山の作品は、たしかビルが建ち並ぶ都市の遠景だった。それ以来彼は、コンクリートに囲まれた川、石灰工場、石灰石の鉱山、発破の瞬間と徐々に源流に遡っていく旅を続けてきた気がする。3.11の大震災後、被災した故郷を撮り始めたとき、旅を中断したのかと思ったけど、この映画を見たら、流された実家の基礎のコンクリート部分だけがしっかり残っていて、中断どころか同じ旅の延長線上にあることがわかった。想像以上に大きな川だったのだ。あと印象に残ったのは、ときどき掃除する姿が映ったこと、いまだフィルムしか使わないこと。写真家の鑑ですね。監督の畠山容平は親族かと思ったが、たまたま名字が同じの先生と生徒の関係だそうだ。

2015/05/22(金)(村田真)

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