artscapeレビュー
《聖プラクセディス》
2015年06月15日号
会期:常設展
国立西洋美術館[東京都]
フェルメールの《聖プラクセディス》を見に行く。この作品は2000年の大阪市立美術館で開かれた「フェルメール展」にも出ていたが、現在「フェルメール作」ではなく「フェルメールに帰属」になっているのは異論が多いからだ。しかしサインと年記(Meer 1655)が入ってるうえ、使われてる絵具がフェルメールの初期作品ときわめて近いらしい。でも同名の画家は17世紀オランダに複数いたことがわかってるので、決定打にならない。しかも、仮にフェルメールの真作だとしても、まだフェルメールらしさが表われてない初期の作品で、おまけにイタリアの画家フィケレッリの模写というから、ありがたみは薄い。そんな作品がなんで西洋美術館にあるかというと、もちろん美術館が購入したからではなく、だれか日本人が昨年オークションで10億円超で競り落とし、美術館に寄託したからだそうだ。でもまあフェルメールらしきものがあるというだけでも客は来るかも。
2015/05/17(日)(村田真)