artscapeレビュー
没後100年 小林清親展
2015年06月15日号
会期:2015/04/05~2015/05/17
練馬区立美術館[東京都]
これも日清戦争を描いた戦争画が出ているので見に行く。お目当ては、2月に静岡市美に行ったとき見られなかった《我艦隊黄海ニ於清艦ヲ撃チ沈ル之図》。清の戦艦が沈んでいく様子をまるで水族館のように水中から見た想像図なのだが、カタログでは気づかなかったけど実物を見て驚いたのは、沈没する船体に巻き込まれて沈んでいく無数の人間が細かく描かれていること。これは流体力学的にいえば理にかなった描写だと思うけど、なんでこんな不可視の情景を想像することができたんだろう。清親は最後の浮世絵師であると同時に、五姓田義松や高橋由一とともにワーグマンに習った最初の洋画家でもあり、かなり合理的な思考の持ち主だったのかもしれない。
2015/05/01(金)(村田真)
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10112020