artscapeレビュー
花岡伸宏「Statue of clothes」
2015年11月15日号
会期:2015/09/26~2015/10/18
MORI YU GALLERY[京都府]
90度回転した少女の頭部の木彫像に木の棒が突き刺さり、台座から宙に浮いている。上部を覆う古着の花柄は、木彫の表面へと浸食する。同様の少女の頭部像は、ある時は真っ二つに切断され、顔面を布で覆われて倒立し、別の木彫の一部(?)や布で梱包された謎の塊、木の棒、彩色された板、果てはマンガ雑誌の背表紙などと脈絡なく接続される。花岡伸宏の作品は、彫刻と絵画、ジャンクや日用品と彫刻、作為と無作為の狭間を確信犯的に行き来しながら、コラージュというよりは、突発的な事故のように強制的な不接合を見せる。だが、これまた端材やがらくたの寄せ集めのような「台座」に載っていることが、かろうじて「彫刻」であることを担保している。
素材もジャンルもバラバラな断片の不接合、無軌道な建て増し工事のような継ぎ接ぎ感、自己同一的なアイデンティティを持たない構築物。そこに、近代以降の日本の「彫刻」への自己言及的な批評を見てとることは可能だろう。だが、「実体なき空虚」「均質な被膜に覆われたヴォイド」としてではなく、あくまで空間的に質量を占める「物体」として、ナンセンスな乾いた笑いとともに提示している点に、例えば金氏徹平や鬼頭健吾といった作家たちとの相違点を見て取ることができる。
2015/10/03(土)(高嶋慈)