artscapeレビュー
フランク・ゲーリー展──I Have an Idea
2015年11月15日号
会期:2015/10/16~2016/02/07
21_21デザインサイト[東京都]
グッゲンハイム美術館ビルバオの設計で一躍世界的に知られるようになった建築家、フランク・ゲーリーの展覧会。なんでこんなに歪んでるの的な彼のデコン建築がどのように発想され、どんなプロセスを経て固まっていくのかを、ドローイングやマケット、言葉、映像などで紹介している。特に初期の段階のマケットは、紙、布、木片、金属、ガラスなどさまざまな素材を用いて、あらゆる形態の可能性を試しているように見える。これほど自由に発想し、それを実現できるのはコンピュータあってのことだろう。複雑な曲面をもつ建築の設計も建材の成形も、コンピュータの進歩がなければ不可能だったに違いない。そのため彼は設計ソフトを開発する会社ゲーリー・テクノロジーズを設立したほどだ。彼の建築のほとんどが90年代以降に実現するようになったのはそのためだ。これはザハ・ハディドも同じだろう。余談だが、彼は89年に建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を、92年に高松宮殿下記念世界文化賞をそれぞれ受賞しているが、調べてみると、プリツカー賞を受賞した建築家の多くが数年後に世界文化賞を受賞していることがわかる。ゲーリーのほか、J・スターリング、R・マイヤー、丹下健三、O・ニーマイヤー、A・シザ、槇文彦、安藤忠雄、N・フォスター、R・コールハース、ヘルツォーク&ド・ムーロン、Z・ハディドと12人にのぼる。逆に、世界文化賞の受賞後にプリツカー賞を受けた者は6人しかいない。世界文化賞は功成り名を遂げた者に贈られるダメ押し賞かい。
2015/10/19(月)(村田真)