artscapeレビュー

遠藤美香 展

2016年03月15日号

会期:2016/02/15~2016/02/20

ギャラリーなつか[東京都]

このあと見に行く「FACE 2016」展でグランプリを獲った遠藤美香の個展。最初に彼女の作品を見たのはいつ、どこでだったか忘れたけれど、たしか室内風景を描いた版画で、畳の目の一つひとつまで彫り込んでるのを見てうれしくなったものだ。いるんだよ森を描くのに木の葉の1枚1枚まで描こうとしたり、群衆を描くのに一人ひとりの髪の毛の1本1本まで描き倒そうとする人。越後妻有の廃屋の全面に彫刻刀を入れた《脱皮する家》も同じビョーキかもしれない。今回の展示では、寝そべって新聞を読んでる人を描いた絵の新聞紙の文字の処理の仕方に感心した。さすがに何万字もの文字を一つひとつ再現しないし、かといってただ線で表わすような横着もしない。なんとなく文字のように見えるけど文字じゃないという、そのギリギリの選択がアッパレ。

2016/02/19(金)(村田真)

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