artscapeレビュー
コアハウス
2016年03月15日号
[宮城県]
竣工:2012年
牡鹿半島へ。アーキエイド、塚本由晴らによる《コアハウス》を再訪する。福島では《コアハウス》のシステムが活用されている。敷地のお寺では再建工事が進行中だった。この先にスタジオ・ムンバイの《夏の家》が移築されている。女川は訪れる度に劇的に風景が変化している。かさ上げで地形が変わり、道路や街区のパターンも変わり、震災遺構は交番ひとつだけ。坂茂による駅前には新しくアウトレットモールのような商業空間が出現し、まるで別の街である。本当に昔の様子をしのばせるものがほとんど消えてしまった。仙台に戻る途中、石巻において門脇小に立ち寄る。焼けた建物には覆いがかぶさったまままだ。手前の住宅地跡はかさ上げで埋もれようとしている。が、3.11直後にコンビニの跡地に掲げられた「がんばろう石巻」の場所だけが残っていた。近づくと矢印で案内も出ており、被災を証言する数少ない巡礼地に格上げされている。
写真:左=上から、《コアハウス》、女川駅 右=上から、女川駅前交番、女川駅前商業空間、看板「がんばろう石巻」
2016/02/24(水)(五十嵐太郎)