artscapeレビュー
カタログ&ブックス|2016年03月
2016年03月15日号
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
地域アート──美学/制度/日本
現在、日本のあちこちで「地域アート」が盛んです。
現代アートの最先端は、「地域アート」にあると断言することも可能です。
この本は、そこで作られている作品や起こっている現象について、真剣に考察することを目指した本です。第一線で活躍するアーティストや、学者、批評家の方々に参加していただき、現在の日本で隆盛している「地域アート」について、真剣に考察し、討議し、提案しようとするものです。[出版社サイトより]
米軍が見た東京1945 秋──終わりの風景、はじまりの風景
著者が冒頭で大島渚の言葉──「敗者は映像を持たない」──を引用するように、終戦前後の日本は日本人自身による写真記録が空白となる時代である。「都市の記憶における空白を埋める」ために編まれた本書は、米軍が1945年に撮影した170点以上の写真によって構成されている。巻末には本書に掲載されている米国立公文書館の所蔵写真ナンバーを収録。
これからの建築士──職能を拡げる17の取り組み
建築への信頼が問われる今、必要なのは100万人の「建築士」のバージョンアップだ。専門性を活かしながら、新たな領域と関係性をつくり出して活動する17者の取り組みを、本人たちが書き下ろした方法論と、核心を引き出すインタビューによって紹介。日本全国の建築士が今できる取り組みを見つけ、仕事の幅を拡げられる1冊。 [出版社サイトより]
LIXIL BOOKLET 文字の博覧会─旅して集めた“みんぱく”中西コレクション─展
2016年3月17日〜5月27日のあいだLIXILギャラリーで開催している「文字の博覧会─旅して集めた“みんぱく”中西コレクション─展」のブックレット。国立民族学博物館(通称“みんぱく”)に収められたた中西亮氏によるコレクションを中心に、世界のさまざまな文字の魅力を豊富な図版とともに紹介する。言語学者の西尾哲夫氏やアートディレクターの浅葉克己氏、グラフィックデザイナーの永原康史氏らのテキストを収録。
藤幡正樹 Anarchive No.6
アンヌ=マリー・デュゲ氏の企画出版シリーズ「Anarchive」による、メディア・アーティスト藤幡正樹氏の作品集。1970年代のアニメーション作品や、CG作品、コンピューターによる彫刻、1990年代以降のインタラクティブ作品、GPSを用いた大型プロジェクトなど、ほぼすべてを網羅。作品に関する論考や資料、作家自身による作品解説などを収録。本書は作家のレトロスペクティブであると当時にメディア・アート史のアーカイヴでもある。さらに、専用アプリ(iOSのみ)を用いて、過去のインスタレーションの3Dモデルを、AR(拡張現実)技術によって体験することができ、テクノロジーとアーカイヴをめぐるこうした試みは藤幡氏の最新作でもある。
リアス・アーク美術館常設展示図録──東日本大震災の記録と津波の災害史
リアス・アーク美術館は、震災発生直後から約2年のあいだ行なった震災被害記録、調査活動によって約30,000点の写真、被災物約250点を収集。これらの資料は、「東日本大震災をいかに表現するか、地域の未来の為にどう活かしていくか」をテーマとして編集され、2013年4月に常設展示として資料の一部が公開された。本書は被災現場写真108点、被災物61点、その他歴史資料等約30点の写真を掲載し、写真解説、キーワード等のテキストをすべて収録している。 また、同常設展を東京地区で初めて大規模に紹介する展示として、目黒区美術館で「気仙沼と、東日本大震災の記憶」展が3月21日まで開催している。
2016/03/14(月)(artscape編集部)