2019年10月01日号
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artscapeレビュー

TOKYO ART BOOK FAIR 2019

2019年08月01日号

会期:2019/07/12~2019/07/15

東京都現代美術館[東京都]

2009年にスタートした「TOKYO ART BOOK FAIR」も10回目の区切りの年を迎えた。今年はリニューアル・オープンしたばかりの東京都現代美術館に会場を移し、エントランスホールと地下2階の企画展示室に国内外の出版社、ギャラリー、アーティストなど、約300組が出展していた。相変わらず、連日大変な数の入場者が訪れ、会場は活気を呈している。ただ、ブック・フェアとしてはそろそろ限界に達しつつあるのではないかという印象を受けた。

僕が行ったのが最終日の15日の午後だったこともあると思うが、入場者があまりにも多過ぎてほとんど身動きができない状態だった。ブースに立ち止まって本をゆっくり見る余裕はなく、出展者とのコミュニケーションもうまくとれない。また以前は、どちらかといえば写真集中心のイヴェントだったのだが、イラスト集やアート・ブックの割合が増え、Tシャツなどのグッズを販売しているブースもあって混乱に拍車がかかっている。出展物の内容が洗練されてきていることは間違いないが、逆に均質化も目立つようになった。好みの本を見つけ出すのは、砂粒からダイヤモンドを探すような状況になってきている。

「TOKYO ART BOOK FAIR」では出展ブースに加えて、独自企画も展開している。今年はゲスト国がアメリカということで、同国で1970年代から刊行されてきたZINEの展示やトークイヴェントなどが開催されていた。ほかにも「カタログでたどる、資生堂ギャラリーの100年」、若手写真家グループのカルチャーセンターが主催する「Boring Books 退屈な本」展なども開催されていたのだが、メイン会場の雑踏に紛れてほとんど目立たない。会場のスペースや運営のやり方を、根本的に見直す時期にきているのではないだろうか。

2019/07/15(月・祝)(飯沢耕太郎)

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