artscapeレビュー

『DECADE』

2010年02月15日号

発行所:宮城大学

発行日:2007年3月31日

宮城大学事業構想学部空間デザインコースの有志らがつくる機関誌。大学創立10周年の2006年に±0号をつくり、以後、毎年一冊を出している。取材、編集、執筆は、主に有志学生によるもの。学生の作品や大学での活動を中心に紹介するほか、巻頭ではこれまで吉岡徳仁、中山英之、重松象平らにインタビューもしている。そのクオリティの高さにも驚かされ、ほぼ学生だけでつくっているようには思えない。その背景の一つには、DTPの進化もあるだろう。地方大学からの発信という点にも、『DECADE』の意義がある。編集チームは、東京からの300kmの距離を意識しているという。地方大学から発信したメディアが、東京の書店や大学などにおかれる、あるいは別の地方に置かれるという動きは、地方のアイデンティティ確立に寄与するだろう。その動きの一つとして『DECADE』のこれからに注目したい。宮城は、せんだいデザインリーグ卒業設計日本一決定戦も行なわれており、確実に建築における新しい情報発信の拠点の一つとなりつつある。

2010/01/12(火)(松田達)

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