artscapeレビュー

建築家の読書術

2010年02月15日号

会期:2010/01/26~2010/02/06

ギャラリー・間[東京都]

中村拓志、中山英之、平田晃久、藤本壮介、吉村靖孝という5人の建築家がそれぞれ20冊の本を挙げ、読書術を披露するといういわば珍しいタイプの展覧会。統括は建築史家の倉方俊輔。3階の会場には一冊ずつ本が置かれた椅子が並べられる。まず展覧会のヴァリエーションを広げる試みとして面白い。そして、実際の建築物や模型を見る以上に、建築家の思考の裏側が見えてくるような試みでもある。統括の倉方氏に聞いたところ、10冊くらいだと流行りの本や名著でごまかすことができる、でも20冊だとその建築家の本質が見えてくるということだった。確かに20冊をもって何かを語るというのは結構難しい。いわば難問である。しかし、同時期に連続して開催された連続レクチャーにより、20冊のセレクト意図などが各建築家により明らかにされていったという。面白いのは、全体として本は2冊ほどしか重なっていなかったらしいが、いくつか共通のラインが見えてくるところである。例えば吉村はユクスキュルの『生物から見た世界』を挙げたが、中村はその訳者である動物行動学者の日高敏隆の『人間はどういう動物か』を挙げ、さらに平田は日高の弟子筋である小原嘉明の『モンシロチョウの結婚指輪』を挙げる。建築とまったく関係ないはずの分野で隠れた共通項が見えてくるのは面白い。そういえば以前、建築家がそれぞれ映画について語るという特集が『Detail Japan』でもあった。建築家に作品以外の部分から焦点が当てられた好展覧会だといえよう。

2010/01/26(火)(松田達)

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