artscapeレビュー
カール・ハイド展
2010年10月01日号
会期:2010/08/25~2010/09/15
ラフォーレミュージアム原宿[東京都]
UNDERWORLDのメンバーであり、TOMATOのメンバーでもあるカール・ハイドの個展。鉛筆で書き殴ったドローイングの上に色を塗って仕上げた平面作品などが展示された。会場にはライブ・ペインティングの記録映像のほかに、UNDERWORLDの楽曲などが流されていたように、音楽と絵画の重複から独自の芸術を手繰り寄せようとしていたようだ。しかし、その平面作品はどういうわけか「日本的」で、支持体に和紙を用いているからなのか、墨筆による円状の形が吉原治良を連想させるからなのか、とにかくやたら和風を意図したような作品が多い。それらとテクノの音が混ざり合った会場には、胸に「原宿」という漢字がプリントされたTシャツを嬉々として着ている外国人を目撃してしまったときに感ずるような、奇妙な空気が流れていた。もしかしたら、この違和感は外国人の視線によって外在的にとらえた「日本」のイメージを内側から見るというねじれた経験に由来しているのかもしれないが、逆にいえば、西洋から輸入して社会に定着させようとしてきた日本の「美術」のありようも、もしかしたら彼方から見れば同じような違和感とともに見られているのかもしれない。ようするに、ねじれたまま結びつけられているという点で、「お互いさま」なのだろう。
2010/09/14(火)(福住廉)