artscapeレビュー

寺井絢香 展

2010年10月01日号

会期:2010/09/13~2010/09/18

ギャルリー東京ユマニテ[東京都]

縦長の紙に鉛筆で描いた野菜や消耗品などの絵。部分的に色鉛筆を用いているようだが、基本的にはモノクロームで、キウイやメロンパン、鍵などをそれぞれの質感を一つひとつ丁寧に描き出している。それらがほぼ等間隔に立ち並んだ光景は壮観だが、手前から奥に向って拡がりのある構図と、ほとんど同じ大きさの支持体のおかげだろうか、展示の空間全体に生まれた奇妙なリズムが心地よい。会場の中央に立つと、まるでおびただしいモノが流れ込む滝壺にはまり込んでしまったかのようだ。紙と鉛筆という単純な道具で豊かな世界を創り出す、アートならではの魅力を存分に発揮した展観だった。

2010/09/15(水)(福住廉)

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