artscapeレビュー

美術の中の動物たち

2010年10月01日号

会期:2010/07/24~2010/08/29

尼崎市総合文化センター[兵庫県]

動物をモチーフにした美術作品を集めた展覧会。池水慶一、小野養豚ん、植松琢磨、名和晃平、淀川テクニックの5組がそれぞれ作品を展示した。動物の形を造形化することに終始した作品が多いなか、そこから一歩踏み込んでいたのは池水慶一と小野養豚ん。池水は全国の動物園で飼育されているゴリラや象、ラクダなどの生態を詳しく調査して写真に収め、あわせて彼らを飼育している全国の動物園へのアンケート結果も発表した。とりわけ、ラクダが射精後に失神するほど激しい交尾をするという知られざる事実には驚かされたし、背後から撮影したゴリラの写真には背中で何かを物語る人間と同じ独特のオーラを放っているように見えた。また、つねに養豚場の豚をテーマに制作してきた小野養豚んは、FRPで形成したリアルな立体作品を発表して食肉としての豚の一面を強調していたが、あわせて展示された柔らかい色と線によるドローイングが生き物としての豚に注ぐ深い愛情を表わしていた。両者はともに、動物をテーマとしながらも、その先に人間の姿を暗示していたのである。

2010/08/25(水)(福住廉)

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