artscapeレビュー

2016年11月15日号のレビュー/プレビュー

柳幸典 ワンダリング・ポジション

会期:2016/10/14~2016/12/25

BankART Studio NYK全館[神奈川県]

大空間をインスタレーションで思い切り使いきった力作が続く回顧展である。これだけまとめて、彼の作品群を見たのは初めてかもしれない。三分一博志が入って、現在の犬島の美術館ができる以前の1995年頃から柳が考えていた構想の全容もきちんと紹介されていた。そして、犬島の美術館の空間体験を再現したイカロス・セルの通路を抜けると、奥に巨大なゴジラの目が睨みをきかせている。

2016/10/27(木)(五十嵐太郎)

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BankARTスクール2016 高橋一平「横浜国立大学中央広場について」

BankART Studio NYK[神奈川県]

磯達雄と共同で開催しているBankARTスクール「横浜建築家列伝vol.3」にて、高橋一平をゲストに迎える。彼の経歴を振り返り、東北大→横浜国大→西沢立衛事務所で担当した分棟形式の《森山邸》や《十和田市現代美術館》、そして、独立後の《七ヶ浜保育園》や《Casa O》、《横浜国立大学中央広場》に至る一連の流れが語られた。これらを貫くのは、単体のオブジェとしての建築ではなく、つねに周囲との関係から群として考えることであり、現在、彼が興味を持って中国の各地でも観察している集落的な構成だった。

2016/10/27(木)(五十嵐太郎)

あざみ野コンテンポラリー vol.7 悪い予感のかけらもないさ展

会期:2016/10/07~2016/10/30

横浜市民ギャラリーあざみ野[神奈川県]

美術にとらわれず広く現代のアートを紹介するシリーズ「あざみ野コンテンポラリー」の7回目。タイトルはRCサクセションの「スローバラード」の1フレーズらしい。否定でも肯定でもなく、否定を否定することで肯定的に語るというのは、現代社会を表現するときの姿勢かもしれない。出品は岡田裕子、風間サチコ、金川晋吾、鈴木光、関川航平の5人で、映像2人、写真、ドローイング、版画が1人ずつ。興味深く見たのは関川の鉛筆ドローイングと、風間の木版画。どちらも紙にモノクロ表現だ。関川は鳥、草花、怪獣、ロボット、仮面などいろいろなものを描いているが、いずれもタイトルは「フィギュア」で、鳥なら生身の鳥ではなく「模型」「つくりもの」の鳥を描いているのだ。これはおもしろい。風間は現代では珍しい風刺版画をつくり続けているが、今回は折り込みチラシの住宅の画像をトレースした初期の作品から、校内暴力をテーマにした新作シリーズまで出品。ますますダイナミックに、ますますマンガチックに突っ走ってる。

2016/10/27(木)(村田真)

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Chim↑Pom「また明日も観てくれるかな?」~So see you again tomorrow,too?~

会期:2016/10/15~2016/10/31

歌舞伎町振興組合ビル[東京都]

いやはやすごい展示だった。建築系リノベーションも芸術祭のまちなか展示にも難しい過激な建築への介入である。複層にわたってスラブを切断して落とす行為は、かつてのゴードン・マッタ=クラークを彷彿させるが、日本的なスクラップ・アンド・ビルドの文脈に接続しつつ、オリンピックによる破壊と開発の加速化への批判を含む。そして、最下層には、スクラップビルのジャンクバーガーが出現する。今後、ビルごと解体された作品を再利用しながら、リビルドするというのも楽しみだ。

2016/10/28(金)(五十嵐太郎)

2016年度グッドデザイン賞受賞祝賀会、グッドデザイン大賞選出会

グランドハイアット東京[東京都]

六本木ヒルズに向かい、グッドデザイン賞受賞祝賀会と大賞選出会へ。今年は建築系だと、ブルースタジオのホシノタニ団地が候補に残り、変わり種ではヤンマーのカッコいいトラクターが決戦投票に進んだ。最終的に大賞は、面積や距離を正確に表示できるオーサグラフ世界地図に決定する。なお、グッドデザイン賞の大賞は、別室で審査員が決めるレコード大賞と違い、全員が見える壇上の透明な投票箱にみながコインを入れる形式をとっている。

2016/10/28(金)(五十嵐太郎)

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