artscapeレビュー

2009年05月01日号のレビュー/プレビュー

木立真佐美 個展 アニミティック・センス─球体関節のかたち─

会期:2009/03/30~2009/04/04

ギャラリー山口[東京都]

球体関節人形の展覧会。通常はかわいらしい衣装を着せて持ち主の愛玩具として用いられることが多いが、木立のつくりだす人形は表面が焼け焦げ、あるいはただれているように見えるので、むしろ端的に、おぞましい。だからこそ持ち主の深い愛情が注がれるのかもしれないが、球体関節人形の新たな一面を見たような気がした。

2009/03/31(火)(福住廉)

ウラサキミキオ展

会期:2009/03/30~2009/04/04

ギャラリイK[東京都]

平面作家ウラサキミキオの新作展。作家が暮らす住宅の居間から見た光景を描いている。室内に置かれたピアノやベランダの植木、その向こうに見えるマンションの裏側など、その日常性がこの上なく中庸だが、その一方で画面には切り貼りされた紙が無作為に貼られているため、視覚的なノイズが発生するように仕掛けられている。ある種のレイヤーを重ねることによって日常という凡庸な空間を見つめようとする作家の視線が表わされているようだった。

2009/03/31(火)(福住廉)

日野田崇 展─アレゴリーの暴発─

会期:2009/04/01~2009/04/25

INAXギャラリー2[東京都]

セラミック彫像の展覧会。マンガ的なモチーフが表面に描かれた彫像は、一見すると村上隆の亜流のように見えなくもないが、それ以上に曲線が歪み、彫像のフォルムも大胆にデフォルメされているので、キャラクターの立体化という浅薄なレベルを鮮やかに突き抜けている。

2009/04/02(木)(福住廉)

万華鏡の視覚 ティッセン・ボルネミッサ現代美術財団コレクションより

会期:2009/04/04~2009/07/05

森美術館[東京都]

近年にわかに関心が高まりつつある「視覚」をテーマにした企画展。文字どおり万華鏡のようにピカピカ光ってまぶしい作品や、ガヤガヤとけたたましく音を発する作品が多く、視覚を根源的に再考させる作品はほとんど見受けられなかった。ジム・ランビーの縞々模様の上で無目的にゴロゴロと転がり続けるイェッペ・ハインの球体作品は、丸い表面にその縞模様を歪めて映し出すことで、ジム・ランビーの作品の力を本来以上に引き出す視覚的な効果を発揮していた。

2009/04/03(金)(福住廉)

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池田亮司展 +/-[the infinite between 0 and 1]

会期:2009/04/02~2009/06/21

東京都現代美術館[東京都]

作曲家/アーティストの池田亮司の個展。複雑な世界のありようをサイン波やピクセルといった「データ」に還元する作風で知られるが、今回の個展で明らかになったのはその還元の仕方がきわめて単純かつワンパターンであること。すべての作品は、白と黒、ポジとネガといった二項対立の図式にもとづいているため、いちどそのパターンを発見してしまうと、それ以上の楽しみを見出すことが難しくなってしまう。むしろ、図らずも画面の表面に付着した小さな埃の塊が、そうした二項対立を相対化するノイズとして、よっぽどリアルに感じられた。作品数が少なく、美術館の空間をもてあましていたのも、もったいない。

2009/04/04(土)(福住廉)

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2009年05月01日号の
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