2018年06月15日号
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artscapeレビュー

現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより

2014年07月15日号

会期:2014/06/20~2014/08/24

東京国立近代美術館[東京都]

台湾の電子部品メーカーのCEOピエール・チェンが設立したヤゲオ財団のコレクション展。コレクションは台湾のアーティストから始まり、中国、欧米の現代美術へと広がっていったという。何人か挙げると、ロスコ、ベーコン、ウォーホル、リヒター、キーファー、ジョン・カリン、ピーター・ドイグ、グルスキー、ザオ・ウーキー、杉本博司、蔡國強といった顔ぶれ。あまり脈絡がないというか、選択の基準は「値が急上昇してるもの」じゃないかと勘ぐりたくなる。作品としてはオペラシティで紹介された石川コレクションのほうがおもしろかった。むしろ「美的価値」だけでなく「市場価値」を加味した展覧会の構成に興味がわいた。チラシや解説で作品の美的価値をたたえつつ市場価値をほのめかしたり(市場価値が美的価値を後押しする?)、もっと露骨に50億円で作品を買うゲームを用意したり。カタログもパートごとに扉の上段は美的価値、下段は市場価値の話題に書き分けている。つまり二枚舌。巻頭の財団理事長ピエール・チェンへのインタビューはつまらないが、その裏版ともいうべき保坂健二朗氏のQ&A「なぜ美術館でコレクターの展覧会が行われ、現代美術が『世界の宝』と呼ばれたのか?」は近年稀に見るおもしろさだった。とくに最後の「美術館とコレクターの関係」は目からウロコ。展覧会のカタログを(しかも国立美術館の)こんなにわくわくしながら読んだのは何十年ぶりだろう。いやー近美も変わったもんだとつくづく思う。いい意味でね。

2014/06/19(木)(村田真)

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