2018年10月15日号
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artscapeレビュー

台北 國立故宮博物院

2014年07月15日号

会期:2014/06/24~2014/09/15

東京国立博物館[東京都]

中国のお宝が台湾からやってくる。同じ台湾の「宝」でも、保険評価額でいえばヤゲオよりこちらのほうがはるかに高いはず。東博と東近の格の違いだ。ただ、金銀きらびやかな西洋やオリエントと違い、いかにも高そうなモノがないのが東洋のお宝。つまり目を刺激するものが少なく、ジミーちゃんなのだ。案の定、前半は書画が多くて退屈する。でも陳列ケースに展示された書画の上にその拡大写真が置かれ、色も明度もクリアなのでついそちらのほうばかり見てしまう。じゃあ手前のホンモノはなんのためにあるのか。後半になると磁器、刺繍、玉器など工芸品が増えて少し楽しめる。とくに《紫檀多宝格方匣》はミニチュア工芸品を入れたコンパクトなコレクションボックスで、箱の内部は小さな陳列棚になっており、西洋のヴンダーカマーをさらに縮小・凝縮したかたち。しかも展示室そのものがこの箱を模していて、入れ子状のミクロコスモスを強調している。そして最後に登場するのが、本館の特別展示室で限定公開される(もう終わっちゃった)最大の目玉《翠玉白菜》。翡翠を彫って白菜(+イナゴ)に見立てた高さ20センチ足らずの彫刻だが、台湾でもこの展示室の前には連日長蛇の列ができるほどの人気という。たしかに翡翠は宝石だけど、そんな貴重な石でわざわざ虫の止まった白菜なんか彫るかよ。白菜は純潔を、虫は多産を象徴するという説もあるが、じつは翡翠という高価な素材を庶民的な白菜に変えることで価値の転倒を図ろうとしたのではないか。一種の逆錬金術。それって現代美術の発想か。

2014/06/23(月)(村田真)

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