2018年04月15日号
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artscapeレビュー

2016年12月01日号のレビュー/プレビュー

二条家文書の世界

会期:2016/11/19~2016/12/03

ハリス理化学館同志社ギャラリー[京都府]

二条家は、藤原氏嫡流の公家、五摂家のひとつ。その歴史は鎌倉時代に遡る。江戸時代の屋敷跡は現在、同志社女子大の今出川キャンパスの一角にあたり、1980年以降校舎の建設にともなって屋敷跡の調査がすすめられてきた。本展で展示されているのは、二条家から学校法人同志社が譲り受け研究を進める史料一式のなかから、その核となる即位灌頂約60点のうちの17点。即位灌頂とは天皇即位に関する秘儀である密教儀式のことである。展示品《桜町天皇宸翰》には「即位灌頂の事ハ、朝廷の重事なり、(中略)伏見院即位の時、執柄二条師忠さつけ候而、これより代々二条家のミ受申さる」ともあり、即位灌頂という重要な儀式を受け継いだのはおもに二条家であったようだ。およそ300年前の文書もあるが、保存状態がよいため、年月を感じさせない。今も脈々と続く公家の家系、その伝統を垣間みる展覧会であった。[平光睦子]

2016/11/19(土)(SYNK)

プレビュー:art trip vol.2 この世界の在り方 思考/芸術

会期:2016/12/10~2016/02/12

芦屋市立美術博物館[兵庫県]

芦屋市立美術博物館が、館蔵品とともに現代美術作品を紹介することをテーマに企画した展覧会の第2弾。今回は、河口龍夫、伊藤存、小沢裕子、前谷康太郎を招き、彼らとミーティングを重ねながら展示作品を選定、刺繍、彫刻、アニメーション、映像、光などを駆使する4人の作品のほか、ナウマン象の歯の化石、土器、小杉武久や菅野聖子の美術作品などが展示される。展覧会のテーマは「思考」だ。おびただしい情報が地球上を駆け巡る現在、われわれはさまざまな方法でそれらを取得し、正しい判断ができるよう努めているが、それでも無意識に情報の選択したり、一方的に決めつけている可能性がある。感性を高め、思考力を研ぎ澄ませることで、目に見える向こう側まで思いを馳せることができるのではないか。本展にはそのような意志が貫かれているのだ。国際情勢が混迷を深める現代、美術展を通して物事の見方をトレーニングするのも悪くないかもしれない。

2016/11/20(日)(小吹隆文)

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