2018年04月15日号
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artscapeレビュー

2017年03月01日号のレビュー/プレビュー

白図 山下裕美子展

会期:2017/02/09~2017/02/26

ぷらすいちアート[大阪府]

山下裕美子の作品を初めて見た人は、それらが紙でできていると思うだろう。まさか陶芸だとは思わないはずだ。彼女の作品はそれほどに薄く、軽く、儚い雰囲気を漂わせている。作品は、和紙や布を貼り重ねて造形し、泥状の土を塗った後、焼成している。焼成段階で紙や布は燃えてしまい、陶土のみが残るのである。展示はライトボックスの上に置かれることが多い。透過光が繊細さを一層強調するのだ。しかし本展では、いくつかの作品を金属板や板の上に設置し、作品の新たな魅力を引き出そうとしていた。また、ひしゃげた箱や何かを包んだ紙など、これまでとは異なるモチーフを採用しているのも大きな特徴だった。作風自体は正常進化だが、いくつかの点で新たなチャレンジがうかがえ、今後の変化に含みを持たせた。本展を位置づけるとこんな感じだろうか。

2017/02/17(金)(小吹隆文)

そがひろし「気遣ひ」

会期:2017/02/14~2017/02/23

LADS GALLERY[大阪府]

この作家のことはいままで知らなかったが、作品が発する異様なパワーに圧倒された。作品の支持体は紐による不規則なグリッドで区切られ、そこに和柄の布地、ペイント、文字が配されている。文字は古事記や足尾銅山鉱毒事件を明治天皇に直訴した事で知られる政治家・田中正造の一文など歴史的な素材から採られているようだ。また、支持体に仏壇を流用したものもあり、飾り金具を作品の一部として活用したケースもあった。一目見て思ったのは、呪術的、情念的だということ。作家がどのような意図で本作をつくったのか不明だが、これらの作品を見たものは一様にまがまがしさを感じるであろう。作家は1958年生まれで岐阜県郡上八幡市在住。具体美術協会の作家・嶋本昭三との出会いから美術活動を始めた。展覧会は主に東京で行ない、名古屋でも数回個展を行なっている。関西での個展は今回が初めてのようだ。こんなにユニークな作家がいるとは知らなかった。今後も関西で個展を行なってほしいものだ。

2017/02/17(金)(小吹隆文)

プレビュー:額装の日本画

会期:2017/02/25~2017/04/02

栃木県立美術館[栃木県]

現代団体展や公募展の日本画、百貨店美術画廊の日本画コーナーを覗いてみると、洋画と同様に額装された作品が多く見られる。しかし、美術館や博物館で見る近代以前の日本画は、掛軸や屏風、絵巻物といった仕立てが中心だ。額装し、床の間以外の壁面に飾る日本画はいつ、どのようにして現われたのか。そこには、建築の洋風化、団体展、公募展の開催など、作品が展示される空間の変化が影響していることは想像に難くない。この展覧会では日本画額装の歴史を、日本画の見せ方をめぐる議論、抄紙技術の改良と和紙の大判化、団体展の興隆や出品規定の変遷、技法や画材の変化などを通じて辿るという。栃木県立美術館のコレクションによる企画だが、昨年の「学芸員を展示する」展(2016/1/9~3/21)がコレクションの見せ方としてとても工夫されていて面白かったので、今回の企画も楽しみにしている。[新川徳彦]

2017/02/20(月)(SYNK)

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プレビュー:小出麻代 うまれくるもの

会期:2017/03/10~2017/04/09

あまらぶアートラボ A─Lab[兵庫県]

2015年に開館した兵庫県尼崎市のアートセンター「あまらぶアートラボ A─Lab」。そのオープニング展として行なわれた「まちの中の時間」では、出展作家のヤマガミユキヒロ、小出麻代、田中健作が展覧会終了後に1年間かけて尼崎市でフィールドワークを行ない、その成果を2016~17年に順次個展として発表するプロジェクトが組まれていた。すでに昨年にはヤマガミが個展を行ない、2人目として登場するのが小出麻代である。小出は、糸、紐、紙、セロファン、鏡、鉛筆、版画、照明などの小ぶりな素材を組み合わせたインスタレーションで知られる作家だ。展示空間の特性や、自身の記憶、感性を自然なかたちで融合させる術に長けており、繊細でしなやかな作風には定評がある。「うまれくるもの」と題した本展で、彼女が尼崎で見つけ、感じたものに思いを馳せたい。

2017/02/20(月)(小吹隆文)

プレビュー:風と水の彫刻家「新宮 普の宇宙船」

会期:2017/03/18~2017/05/07

兵庫県立美術館[兵庫県]

兵庫県三田市にアトリエを構え、風や水などの自然エネルギーで動く彫刻作品で国際的に活躍する新宮晋(1937~)。世界各地の公共空間に約160点の作品を設置し、欧米の諸都市を回る野外彫刻展「ウインドサーカス」や、作品設置を通して世界各地の先住民と交流するプロジェクト「ウインドキャラバン」でも知られる彼が、過去最大規模の個展を開催する。安藤忠雄が設計した兵庫県立美術館をひとつの宇宙船に見立てた本展では、新作約15点を中心に、映像、彫刻模型、絵本などを展示。また、自然の力で自立する未来の村「ブリージング・アース」のプランも紹介される。彼の新作を大量に見られるのはもちろん、建築との共演も非常に楽しみだ。

2017/02/20(月)(小吹隆文)

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