2019年07月15日号
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artscapeレビュー

阪大生・手塚治虫──医師か? マンガ家か?

2011年06月01日号

会期:2011/04/28~2011/06/30

大阪大学総合学術博物館 待兼山修学館[大阪府]

大学付属の博物館が、しかも「阪大生・手塚治虫──医師か? マンガ家か?」という限定されたテーマについて企画したものだが、十分に見応えのある展覧会だった。漫画家、手塚治虫が医者でもあったことはよく知られている。1945年に大阪大学医学専門部に入学、その翌年に漫画家としてデビュー。当時中之島(大阪府)にあった医学専門部での講義や実習が終わると、角帽の代わりにトレードマークとなったベレー帽をかぶって漫画家に変身、出版社へと赴く日々が始まったという。また、1950年には東京の出版社での連載もはじまり、東京と大阪を片道11時間もかけて往復する超多忙な生活を送っていたそうだ。大学を卒業する頃には、すでに漫画家として確固たる名声を築いていたが、驚くべきことに同時期に「医師国家資格」も取得している。その情熱と努力に感服するばかり。展覧会では作品はもちろん、当時の写真やその他の資料を頼りに手塚治虫の学生漫画家時代を振り返っている。きちんと整理され精密画などが描かれている授業ノートや手帳、希代の昆虫好きだった彼の昆虫標本など、漫画家、医学生、そして人間としての手塚治虫を垣間見ることができる。
[金相美]

2011/05/18(水)(SYNK)

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