2019年07月01日号
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artscapeレビュー

日本のデザイン2011──Re:SCOVER NIPPON DESIGN デザイナーが旅する日本。

2011年06月01日号

会期:2011/04/22~2011/06/05

東京ミッドタウン・デザインハブ[東京都]

活躍中の3人のデザイナーが、若手写真家とともに旅に出る。森本千絵氏は、浅田政志氏と兵庫県篠山市へ。山中俊治氏は、鍵岡龍門氏と鹿児島県種子島へ。そして梅原真氏は、広川智基氏と秋田県秋田市へ。いずれの旅へも藤本智士氏(今回の企画のディレクター)がアテンドする。旅の起点は最初に決めるが、なにをするか、そこからどこへ行くかはなりゆき次第。都会の手法を地方に持ち込んで地域を活性化する、というプロジェクトではない。地方の異なる文化を都会に持ち帰ろう、というものでもない。デザイナーたちがなにを見ているのか、なにを見つけ出すのかを追うことが目的。それを写真家がカメラで追い、藤本氏がテキストに記録する。
展示されているのは、写真とテキストといくつかのお土産。すなわち旅のアルバムである。このアルバムを本や雑誌の記事としてではなく、デザインハブの展示会場で「読む」。天井から吊された透明なシートに写真とテキストが配されているが、これがとても効果的だ。アルバムの中に入り込んで、デザイナーたちの旅を追体験しているかのようである。
地方あるいは外国を訪れ、異なる環境に身を置き、知らないなにかを見つけたり、あるいは自分の所属するフィールドの価値を再確認するという作業はべつに新しいものではない。それでもさまざまな旅の記録が存在するのは、共に旅をしていないわれわれにとっても異なる視点に触れる楽しみがそこにあるからである。デザイナーと写真家、ディレクターとの出会いからも新しいコミュニケーションが生じる。それらが旅における場や人、モノとの出会いと複層的に関わり合っているから、3つの旅はそれぞれが独自で、それぞれが面白い。デザインハブで限られた観覧層にのみ公開するのはなんともぜいたくな企画である。[新川徳彦]

2011/04/26(火)(SYNK)

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