artscapeレビュー
9・11新宿原発やめろデモ!!!!!
2011年10月01日号
会期:2011/09/11
新宿一帯[東京都]
3月11日からちょうど半年にあたる日に行なわれた脱原発デモ。新宿駅の周囲を反時計回りに周回するコースをおよそ1万人あまりが歩いた。前回の銀座・新橋に引き続き、警察による警備は過剰で大仰だったが、結果的にデモの参加者を12名も逮捕するという異常な事態を招いてしまった。私たちの目の前で、デモ参加者の手足を家畜のように持ち運んだ私服警官の姿は、それが「警備」という名を借りた「弾圧」であることを如実に物語っていた。デモの最後に新宿アルタ前で開かれる恒例の集会では、柄谷行人をはじめとする知識人や政治家、音楽家などが次々と発言したが、飛び抜けてすばらしかったのが、いとうせいこう×DUB MASTER X。原発の廃炉を訴えるポエトリー・リーディングによって、無粋な警察のせいで沈みかけた空気を鮮やかに盛り上げてみせた。「廃炉せよ! 廃炉せよ! 廃炉せよ!」と叫ぶいとうせいこうの言葉は、もちろん原発の廃炉を要求するメッセージだが、音楽的なリズムとともにその鋭い声が空間に何度も反響し、聴衆が熱を帯びて高揚してくると、次第に「ハイロセヨハイロセヨハイロセヨ!」とまるで念仏のように聞こえてきたから不思議だ。「ナムアミダブツナムアミダブツナムアミダブツ」と誰もが口にできるように、いとうせいこうは脱原発を願う者であれば誰もが念じることができる詩的な言葉を生み出そうとしたのではないだろうか。いまのところ、3.11以後の世界を生きるためのもっともすぐれた文化表現だと思う。
2011/09/11(日)(福住廉)