artscapeレビュー

プレビュー:遊園地再生事業団『トータル・リビング 1986-2011』、岡崎藝術座『レッドと黒の膨張する半球体』ほか

2011年10月01日号

今月の注目作に2本、遊園地再生事業団(作・演出=宮沢章夫)『トータル・リビング 1986-2011』(2011年10月14日~24日、にしすがも創造舎)と岡崎藝術座(作・演出=神里雄大)『レッドと黒の膨張する半球体』(2011年10月28日~11月6日、にしすがも創造舎)をあげたい。どちらもフェスティバル/トーキョー主催作品。もうひとつ共通点があって「震災・原発事故」を主題にした作品であるとあらかじめ明言していること。「んー、また〈震災〉か」とも思わないではないが、この際、「震災・原発事故が生んだ名作」に出会ってみたいと積極的に考えてみようか。宮沢はチェルノブイリ事故を「遠い出来事」として眺めていた1986年の日本に戻って、現在と対置させる予定だという。「でたらめをやらないといけない気がしている」ともらす神里は、有力なタイトル候補だったのが「へこき虫」だったと告白しながら、舞台でとりあげたいのは怒りであり怒りと向き合う自分だとも明かしている。どちらも緊張感のある作品になりそうな予感。期待したい。ところで両者を対比してじっくりと考えてみたいかたは、11月12日に予定されている「劇評セミナー」の木村担当の回でお会いしましょう(劇評を書くセミナー2011 フェスティバル/トーキョー編 第4回、2011年11月12日、14:00~16:30)。みなさんが持参してくださった劇評を素材に、ソーシャル・リーディングならぬソーシャル・クリティーク(批評の共有)ができたらと思っています。あとほかには、今月たくさん公演があるなか、捩子ぴじんの『モチベーション代行』とロロ『常夏』に期待したい。お見逃しなく!

2011/09/30(金)(木村覚)

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