artscapeレビュー
東京ミッドタウン・デザインハブ特別展 「CODE:ポスターデザイン・コンペティション」受賞作品展
2011年10月01日号
会期:2011/08/31~2011/09/05
東京ミッドタウン・デザインハブ[東京都]
ユネスコが2004年に開始した「創造都市ネットワーク」事業において、「デザイン都市」と指定された世界7都市(ベルリン、ブエノスアイレス、神戸、モントリオール、名古屋、上海、深圳 )が参加したポスターデザイン・コンペティションによって選ばれた作品の展覧会。テーマの「CODE」は、City of Designを意味すると同時に、それぞれの都市が持つ固有の「コード」も意味するという。都市ごとに10点ずつ、70点のポスターを展示する。
都市の住民たちは、自分たちの住む街の特徴を明確に認識しているとは限らない。しかし、それぞれの都市の人々の持つ漠然としたイメージを他の都市と比較すると、その特徴があらわになってくる。7つの都市のデザイナーたちによって描かれた都市のイメージは、個々の作品として見ると違いが目立つが、他の都市の作品とともにひとつの会場に展示されることで、それぞれの都市固有のイメージ、すなわちコードが見えてくる。名古屋は海老フライやしゃちほこなどの物質文化、ベルリンのポスターは統一されたフォーマットが印象に残る、といった具合である。
本展は、もともと深圳で開催された展覧会をそのまま巡回したものであると思われるが、日本側はこの展示に関わっていないのであろうか。展示やリーフレットの説明が非常にわかりづらい。コンペティションの経緯もよくわからないし、ここに現われた都市のコードがデザイナーたちによる自然なイメージの集合なのか、それとも選考委員によるバイアスがあるのかどうかもわからない。興味深い企画であるだけに、その点が残念である。[新川徳彦]
2011/09/03(土)(SYNK)