artscapeレビュー

ノモトヒロヒト写真展 LIFE

2012年03月01日号

会期:2012/02/03~2012/02/25

TEZUKAYAMA GALLERY[大阪府]

東日本大震災の発生から数週間後に津波の被災地を訪れて制作した2つのシリーズを発表。《Facade》は、津波により破壊された建物を真正面から捉えたもので、いわゆるベッヒャースタイルの作品である。ノモトは本作の制作にあたって仮設住宅等に住む建物の持ち主を訪ね、制作意図の理解と許諾を得たうえで撮影している。また、完成作1点をそれぞれの建物の持ち主に贈呈したそうだ。《Debris》は瓦礫置き場の鉄骨や漁具などをアップで撮影し、コンピュータで合成してシュールな情景をつくり出したものだ。過酷な現実と真正面から向き合い、あくまで客観的眼差しをを保ちつつも決して冷血ではない2つのシリーズ。ノモトは困難な仕事をしっかりと成し遂げた。

2012/02/10(金)(小吹隆文)

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