2019年07月15日号
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artscapeレビュー

秋山祐徳太子 大博覧会

2014年02月01日号

会期:2014/01/09~2014/01/25

gallery58[東京都]

秋山祐徳太子による回顧展。旧作から新作まで、さらにさまざまな資料も含めて、おびただしい作品が一挙に展示された。小さな会場とはいえ、非常に充実した展覧会だった。
展示されたのは、秋山の代名詞ともいえる《ダリコ》はもちろん、かつて東京都知事選に立候補した際の記録映像やポスター、そして近年精力的に制作しているブリキ彫刻の数々。秋山の多岐に渡る創作活動を一望できる展観だ。受験番号一番を死守し続けた東京藝術大学の受験票や80年代に制作していた絵画など、貴重な作品や資料も多い。
なかでも注目したのは、秋山の身体パフォーマンス。都知事選における記録映像を見ると、秋山の身体運動が極めて軽妙洒脱であることに気づかされる。顔の表情だけではない。全身の所作が、じつに軽やかなのだ。上野公園でタレントのキャシー中島と行なったライブペインティングにしても、ふわふわと飛ぶように舞いながら支持体に何度も突撃する身体運動が映像に映し出されている。思わず「蝶のように舞い蜂のように刺す」というクリシェが脳裏をかすめるが、秋山のポップハプニングが面白いのは、それが必ずしも「刺す」わけではなく、ただひたすら「舞う」ことに終始しているように見えるからだ。
ダンスとしてのポップ・ハプニング。それは、重力に抗う舞踊とも、重力と親しむ舞踏とも異なる、そして儀式的で秘教的なゼロ次元とも、体操的な強靭な身体にもとづく糸井貫二とも一線を画す、秋山祐徳太子ならではの稀有な身体運動である。不意に視界に入ってくる蝶のように、秋山の身体は私たちの目前をひらひらと舞い、やがてどこかへ消えていくのである。

2014/01/20(月)(福住廉)

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