artscapeレビュー
沖見かれん展
2014年08月01日号
会期:2014/07/15~2014/07/20
アートスペース虹[京都府]
沖見の絵画は風景をもとにしているが、決して再現的ではない。透明のメディウムで地塗りした生成りの画面には、さまざまな筆致の線や色面が交錯し、抽象的な画面をつくり上げている。絵具をたっぷり含んだ筆致は官能的で、作者はむしろ描く快感のために筆を走らせているのではないかと思うほどだ。また、同じ風景をもとに描いた複数の作品を見比べられるのも興味深かった。線、面、色彩といった絵画の諸要素が解放され、それぞれが自由に主張しながら全体として統一的な世界を構築する。そのスリリングな均衡こそ、彼女の作品の魅力である。
2014/07/15(火)(小吹隆文)