artscapeレビュー
5人の写真
2014年10月15日号
会期:2014/09/26~2014/11/08
ツァイト・フォト・サロン[東京都]
石原悦郎がツァイト・フォト・サロンを東京・日本橋にオープンしたのは1978年。日本で最初の、「オリジナル・プリント」を専門に扱う商業ギャラリーだった。当初はアンリ・カルティエ=ブレッソン、アンドレ・ケルテス、マン・レイなど、ヨーロッパの写真家中心のラインアップだったが、その後、日本の写真家たちを積極的に取り上げるようになる。1980年代以降のツァイト・フォト・サロンでの展示が、日本現代写真を牽引していったことは間違いないだろう。2002年には京橋のブリヂストン美術館裏に移転し、展示スペースを拡大して活動を継続した。
そのツァイト・フォト・サロンが、同じ京橋でももっと銀座寄りに移転することになり、「リニューアルオープン展第1回」として、「5人の写真」展が開催された。「5人」というのは北井一夫、オノデラユキ、鷹野隆大、楢橋朝子、浦上有紀で、ここ数年、同ギャラリーで個展を開催してきた写真家たちの中から選ばれている。1940年代生まれの北井から、70年代生まれの浦上まで、年齢も作風もバラバラなのが、逆にツァイト・フォト・サロンの再出発にふさわしい気もする。今回はどちらかといえば「お披露目」の意味合いが強い展示だったが、楢橋の富士山をテーマにした新作(「Towards the Mountain」2013年)や、2013年に個展デビューした新進作家、浦上のインドのシリーズ(「Spiral of Impulse」2014年)など、今後を期待させる作品が並んでいた。
スペース自体は前よりも小さくなったが、立地条件はずっとよくなっている。「リニューアルオープン展」終了後の展覧会で、若手から中堅、ベテランまで、力作、意欲作をたくさん見たいものだ。
2014/09/30(火)(飯沢耕太郎)