artscapeレビュー

木村恒介展―光素(エーテル)の呼吸―

2014年10月15日号

会期:2014/09/04~2014/11/24

LIXILギャラリー[東京都]

床から天井まで届きそうな大きな鏡が3枚ずつ直角に立っている。「じっと鏡を見てください」という指示どおりじっと見ていると、鏡像がわずかずつ動いていることに気づく。鏡の背後に空間があるので、鏡そのものを機械で動かしてるんだと思って縁を凝視してみるが、動いてるようには見えない。よく見ると鏡像が歪んで見えるので、これはきっと鏡全体ではなく鏡面を何らかの方法で波打たせているに違いない。鏡は真っ平らで硬いものという常識をくつがえし、鏡の原点である水面を垂直に立ててみたのかもしれない。別の部屋には水平にさまざまな色の線が走った写真が展示されている。銀座の風景写真だというので、三脚にカメラを据えてグルッと水平に回して撮ったんだろう。具体的なイメージはなにも残ってないが、昼夜の違いや繁華街の華やかさは見事に写し出されている。どちらの作品も日常的な視覚を揺るがす意図があるようだが、それとは裏腹に「どうやってつくったんだろう」という技術的な問題が気になってしまう。

2014/09/12(金)(村田真)

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