artscapeレビュー
カタログ&ブックス│2014年10月
2014年10月15日号
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
プロトタイピング——模型とつぶやき
建築家・藤村龍至の初めての作品集。多くの模型を時系列順に並べ、変化を観察しながらアイデアを組み立て、かつ施主とデザインを共有していく藤村の設計手法は「超線形設計プロセス論」と名付けられ、藤村龍至建築設計事務所で一貫して取り組まれてきたメソッドです。 本書ではそのプロセスで更新されていく模型と解説コメント(つぶやき)の連なりによって、思考のメソッドと進化のプロセスを明らかにしていきます。 収録される作品群からは藤村の10年間の活動を俯瞰することができ、建築を都市や経済、社会の力学のなかに位置づけ直す藤村独自の視点が浮かび上がります。五十嵐太郎、ケン・タダシ・オオシマによる解説も掲載。日英バイリンガル。[LIXIL出版サイトより]
時間のヒダ、空間のシワ…[時間地図]の試み
時間を軸にして、これまでに見慣れた空間地図や地球儀を変形する試み。多視点から解析して生みだされたデータ群を再構成し、新しい視点を加え図像化する。数々の伝説的なヴィジュアルデザインを生みだした杉浦康平が、1960年代から挑戦しつづけた「ダイアグラムデザイン」、「時間地図」群の全貌…。 初期ダイアグラムを共作した松岡正剛との対談をはじめ、多木浩二によるエッセイ、かつて時間地図の編集・制作にかかわった、村山恒夫・赤崎正一らによる寄稿・インタビュー、後半では、建築家・白井宏昌やhclab.の若手クリエーターが、時間地図のデジタイズによって、<スギウラ時間地図>の試みを解読する…。[本書そでより]
takram design engineering|デザイン・イノベーションの振り子
建築から未来のコンセプトカーまで、ユーザーインタフェースから和菓子まで。東京とロンドンをベースに、多様なバックグラウンドを持つメンバーが集い、独自の進化を続けるクリエイティブ・イノベーション・ファーム takram design engineering による、2014年の最新書籍。本書は、takramが仕事の中で培ったノウハウ・プロセス・思想を、多くのダイアグラムを用いて余すことなく解説。「デザイン」と「エンジニアリング」/「ものがたり」と「ものづくり」/「抽象」と「具象」など、2つの領域を往来する「振り子の思考」は、takramに通底するテーマであり、本書のタイトルにも反映されています。複雑な問題を複雑なまま紐解き、創造へと昇華するための方法論を説明するとともに、それらが結晶化した最新プロジェクトの事例を豊富なビジュアルとともに紹介していきます。[LIXIL出版サイトより]
戦後日本住宅伝説─挑発する家・内省する家
埼玉県立近代美術館、広島市現代美術館、松本市美術館、八王子市夢美術館を巡回する「戦後日本住宅伝説─挑発する家・内省する家」展のカタログ。丹下健三「住居」(1953)から伊東豊雄「中野本町の家」(1976)、安藤忠雄「住吉の長屋」(1967)まで 、16人の建築家によるいまや伝説ともなっている住宅を検証する展覧会。展示されていた写真、図面のほかに16人の建築家によって発表された建築・住宅についてのマニフェストや自身の作品についての論考を採録。巻末に「戦後日本住宅年表」も収録。五十嵐太郎監修。
2014/10/14(artscape編集部)