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アアルト大学(旧ヘルシンキ工科大学)

2014年10月15日号

[フィンランド、ヘルシンキ]

途中、ノキア本社を横目で眺めながら、オタニミエの《旧ヘルシンキ工科大学》(アルヴァ・アアルト/1958)を訪れた。現在はアアルト大学と改名されており、彼の手がけた建築群がキャンパスに点在する。世界中から見学者が訪れ、自由に入れることができる図書館、オーディトリアムなど、隅々までデザインが行き届き、うらやましい大学の空間環境だ。また大学内のライリ&レイマ・ピエティラによるディポリセンターは、岩に囲まれる、また岩から立ち上がるだけでなく、インテリアにも岩が浸食する洞窟のような建築である。アアルトの不規則かつ有機的な造形を過剰にバロック化させたとでもいうべきか。アアルトの建築でも、外構では岩の存在が目立つが、岩はフィンランド的な要素なのだろう。キャンパスの奥には学生寮が続くが、さらに進むと、カイヤ&へイッキ・シレンによる《オタニエミ礼拝堂》(1957)がひっそりとたつ。1957年のモダン・デザインである。だが、シンプルな構造とミニマルな空間は、今見ても瑞々しい傑作だ。奥の大きなガラスの向こう、森の中に十字が見え、安藤忠雄の教会のデザインにも影響を与えていると思われる。

記事左上:アルヴァ・アアルト《旧ヘルシンキ工科大学》


左:アルヴァ・アアルト《旧ヘルシンキ工科大学》講堂
右:カイヤ&へイッキ・シレン《オタニエミ礼拝堂》

2014/09/22(月)(五十嵐太郎)

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