artscapeレビュー

東京オリンピックと新幹線

2014年10月15日号

会期:2014/09/30~2014/11/16

江戸東京博物館[東京都]

いま東京オリンピックと新幹線の開通を覚えているのは、確実に半世紀以上生きてきた人たちだ。もちろん東京オリンピックといえば2020ではなく1964だし、新幹線といえばカワセミでもカモノハシでもなく、あの団子っ鼻をイメージするはず。そんな世代の人たちにとって(ぼくだ)この展覧会は垂涎ものにちがいない。展示は戦後のカストリ雑誌に始まり、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品が紹介され、従来の特急つばめ・こだまが出てきて、いよいよ新幹線の登場となる。こだま以上に速い、究極のひかり。この先もっと速い列車が出てきたらなんて名づけるんだろう、と子供心にも心配したものだ(まさか「のぞみ」にワープするとはね)。新幹線の工事と開通を伝えるパンフレットや新聞記事の書体に時代がにじみ出ている。そして東京オリンピック。こちらもパンフレットや売り出されたばかりのカラーテレビ、選手のウェア(とくに女子バレーボールのブルマ)などが時代を感じさせるが、亀倉雄策デザインのポスターはいま見ても新しい。ところでオリンピックには芸術展示がつきものだが、東京ではどんな展覧会が開かれたのか知らなかったし、美術史にも載ってない。それもそのはず「日本古美術展」(東博)と「近代日本の名作展」(東近)だもんね。ハイレッド・センターの首都圏清掃整理促進運動のほうが歴史に残るでしょ。

2014/09/29(月)(村田真)

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