artscapeレビュー
海峡を渡る布 初公開 山本發次郎染織コレクション ふたつのキセキ
2015年10月01日号
会期:2015/09/09~2015/10/18
大阪歴史博物館[大阪府]
大正から昭和戦前にかけて大阪で活躍した実業家・山本發次郎(1887~1951)。彼は美術品コレクターとしても知られており、佐伯祐三や墨蹟のコレクションは有名だ。しかし、染織品のコレクションは知る人ぞ知るものであり、それらが脚光を浴びたという点で本展は意義深い。展示物はインド・東南アジアの染織品約100点+資料。19世紀の品が中心だが、17~18世紀の品も含まれており、なかには世界に2例しか現存しない超レア物もあった。それらの多くは布地のまま展示されているが、一部は上衣という衣装に仕立てられている。緯絣、紋織、バティック、更紗、印金などの技法が駆使された布地は美しく、エキゾチックな染織デザインの魅力をたっぷりと堪能できた。布地は傷みやすく保存が難しい。長年にわたり保存・修復作業を行ってきた所蔵元(大阪新美術館建設準備室)の労をねぎらいたい。
2015/09/08(火)(小吹隆文)
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