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池本喜巳 写真展─幻影床屋考─

2015年10月01日号

会期:2015/08/20~2015/09/20

Bloom Gallery[大阪府]

鳥取市を拠点に活動し、山陰の消えゆく風景や人物を写真に収めてきた池本喜巳。彼は1983年より個人商店をテーマにしたシリーズ「近世店屋考」を制作しており、本展の作品はそれらのうち床屋をまとめたものである。驚くべきは各店の個性的なたたずまいだ。ある店は、外観は古民家で、内部に土間を改装した店舗があり、順番を待つ客は畳の間で火鉢に当たりながら談笑している。またある店は、アンティーク家具のような立派な椅子を使い続けており、別の店では極度のタコ足配線がクモの巣のように垂れさがっている。筆者は幼少時に関西のそこそこ田舎で育ったが、それでもこんな床屋は見たことがなかった。特に古民家系の店舗は興味深く、文化人類学的にも貴重な資料ではなかろうか。撮影時から30年前後が経つ今、こられの床屋のうちどれだけが現存しているのだろう。

2015/08/27(木)(小吹隆文)

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