artscapeレビュー

六甲山国際写真祭2015

2015年10月01日号

会期:2015/08/21~2015/08/30

六甲山カンツリーハウス ROSE WALK、TENRAN CAFE、デザイン・クリエイティブセンター神戸 KIITO、Gallery TANTO TEMPO、GALLERY 4、KOBE 819 GALLERY[兵庫県]

2013年に第1回が行われた「六甲山国際写真祭」。その特徴は、海外から招いた著名なレビュワーたちによる公開ポートフォリオレビューやワークショップを重視していることであり、プロ志向の若手写真家たちに国内では得難い機会を提供している。しかし、内容が高度であることと、会場が六甲山上ということもあり、一般的な認知度は低いのが実情だ。今年は展示部門が強化され、神戸市中心部のギャラリーなど4会場でも写真展が行われた。特にデザイン・クリエイティブセンター神戸 KIITOでの展示は、林典子の「キルギスの誘拐結婚」など注目作が多く、イベントの存在を広く知らしめる効果があった。問題は同祭が今後どのような方向性を取るかである。ターゲットを絞って高度なイベントを目指すか、それとも多くの一般市民が訪れる間口の広いイベントを目指すか。筆者は前者を支持する。後者は他の地域でも代替可能であり、特に首都東京には敵わない。公開ポートフォリオレビューという強力なコンテンツを持つ「六甲山国際写真祭」は、純化路線を推し進めることでステイタスを確立すべきではなかろうか。なお、今回筆者が取材をしたのは写真展のみである。

2015/08/23(日)(小吹隆文)

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