artscapeレビュー

楢木野淑子展

2016年02月01日号

会期:2016/01/11~2016/01/23

アートサロン山木[大阪府]

トーテムポールのような円柱状の陶オブジェが印象的な楢木野淑子の作品。オブジェの表面には様々なモチーフが浮き彫りされ、色鮮やかな色彩も相まって、生命礼賛的なメッセージが感じられる。彼女はこれまでグループ展以外で器を発表したことがなかったが、今回初めて器だけの個展を行なった。ただし、器といっても一筋縄ではいかない。形態こそオーソドックスだが、全体に細密かつ色鮮やかな装飾がほどこされているのだ。特に目立つのは、図像の輪郭線を浮き立たせるイッチンという技法や、浮き彫りを多用していること。また、ペルシャ風の図像を多用し、パール系のキラキラした透明釉を上がけしているのも大きな特徴である。見る人によって好き嫌いがはっきりと分かれそうだが、オリジナリティという点では申し分ない。おそらく鑑賞用の器だと思うが、あえてこれらに料理や菓子を盛ってみるのも面白そうだ。

2016/01/14(木)(小吹隆文)

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