2021年12月01日号
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artscapeレビュー

肉筆浮世絵の美──氏家浮世絵コレクション

2016年02月01日号

会期:2016/01/01~2016/02/14

鎌倉国宝館[神奈川県]

製薬会社の経営者であった氏家武雄氏が蒐集した肉筆浮世絵のコレクション展。戦前期から日本美術を収集していた氏家氏は、戦後浮世絵、それも1点ものの肉筆画の蒐集に専念することを志す。1974年10月1日、鎌倉国宝館内に財団法人氏家浮世絵コレクションが設立され、集めた作品は鎌倉市と協力して保存公開されることになった。この財団設立から40年を迎えて2014年から松坂屋美術館、いわき市立美術館と巡回してきた企画が本展である。分業によって制作される刷り物とは異なり、画家自身の筆遣い、色遣いが現われていることが本コレクションの特徴だ。出展作には歌麿、春章、師宣もあるが、数の点でも印象の強さでも北斎。北斎美人画の代表作といわれる「酔余美人図」(1807年頃)、晩年の武人画「雪中張飛図」(1843年)等々に魅せられる。興味深い史料としては、松楽斎眉月「役者絵(かおとはな)」(1812年)、清谷「役者絵(すがたづくし)」(1804 30年頃)がある。いずれも役者の顔の描き分けが様式化されておらず、個性的なところが見ていて楽しい。司馬江漢「江之島富士遠望図」(1807年)は、実際には海岸からは江の島の右手に見えるはずの伊豆と富士を島の背後に配しているところ、その写実的な表現とのギャップが面白い。[新川徳彦]

2016/01/03(日)(SYNK)

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