artscapeレビュー
プレビュー:ART CAMP TANGO 2017 音のある芸術祭
2017年08月01日号
会期:2017/09/09~2017/09/24 (金・土・日・祝日のみ開催)
旧郷小学校ほか[京都府]
地域アートの隆盛の中でも、「音」にまつわる芸術表現に焦点を当てた芸術祭。「音」を主軸に、現代美術、音楽、サウンド・アート、ダンスなどの領域を横断して活躍するアーティストを国内外から招聘する。「ART CAMP TANGO」は、京都府北部に位置する京丹後市在住のアーティストと地域の有志が立ち上げた団体。2013年より活動を始め、丹後に滞在するアーティストが自然環境や風土、文化から得た体験を地域と共有するアート・プロジェクトを展開してきた。今回の「ART CAMP TANGO 2017 音のある芸術祭」の参加アーティストは、大城真、小川智彦、木藤純子、木村玲奈、鈴木昭男、三原聡一郎、宮北裕美、山崎昭典。また、香港のアートNPO soundpocketと協働し、香港を拠点とする4名のアーティスト、サムソン・チェン、アルミミ・ヒフミ、フィオナ・リー、フランク・タンが参加する。
丹後とサウンド・プロジェクトとの関わりは1980年代にまで遡る。丹後は、日本のサウンド・アーティストの草分けである鈴木昭男が、日本標準時子午線 東経135度のポイントで耳を澄ますサウンド・プロジェクト「日向ぼっこの空間」を1988年に行なった場所であり、以後、30年に渡る鈴木の活動拠点となってきた。鈴木の丹後での活動を通して海外のアーティストとの交流へと発展し、近年、若い世代のアーティストが国内外から丹後に来訪し、新たな交流が生まれている。このような経緯から、丹後の自然の中で、アーティストと一般の参加者が共にアートを体験する「ART CAMP TANGO」の構想が立ち上がったという。
メインとなるプログラムは、ローカル線 京都丹後鉄道の貸切列車内や駅舎で行なわれるオープニング・パフォーマンス「その日のダイヤグラム ─ 丹後~豊岡 パフォーマンス列車の旅」、 廃校となった旧小学校舎を会場に、音を聴く体験や音のある環境へと誘う展覧会 「listening, seeing, being there」、丹後の文化や自然が感じられる場所でのサイトスペシフィック・パフォーマンス「アートキャンプ in 丹後」。さらに、3つの滞在プログラムも組み込まれている(アーティスト・イン・レジデンス、香港から一般参加者を受け入れる「Being There Retreat Camp」、大友良英が始めた「アジアン・ミーティング・フェスティバル (AMF)」のアーティストが丹後を訪れて行なうサウンドツアー)。地域との持続的なつながりをベースに、外との交流がどう実を結ぶか、期待される。
公式サイト:http://www.artcamptango.jp
2017/07/20(木)(高嶋慈)