artscapeレビュー
東京都復興記念館
2017年08月01日号
東京都復興記念館[東京都]
今日はBankARTスクール生と両国界隈の美術館・博物館探訪。最初は復興記念館で待ち合わせたのに、暑いせいか集まりが悪い。ここは関東大震災(1923)の犠牲者を追悼する震災記念堂の附属施設として、震災の惨禍を伝える目的で1931年に建てられたもの。その後、震災記念堂は東京大空襲などの戦災の犠牲者も追悼するため東京都慰霊堂に改称、復興記念館も戦災関連の資料を追加した。設計は伊東忠太+佐野利器。慰霊堂も伊東忠太の設計で、どちらも軒下あたりにガーゴイルみたいなモンスターが装飾されている。入場無料。
まず1階の陳列室に入ると、震災の被害状況を示す写真や地図やデータが展示され、震災後の大火で焼け出された食器、服、眼鏡、硬貨(溶けて塊になっている)などの日用品が並ぶ。広島平和記念資料館の被爆遺品もすさまじいが、破壊力の違いはあれど高温で焼けたり溶けたりした姿は変わりない。2階へ上がると、中央に震災を描いた絵画や復興状況を伝える都市の模型などの陳列室があり、それを囲むように回廊が設けられ、資料やデータが展示されている。絵画は記念碑的な目的で制作されたのだろう、超大作が多い。作者は徳永柳洲のほか有島生馬もいる。ほぼ同時代の聖徳記念絵画館の壁画やこうした震災画が、後の戦争画の原点になっているのかもしれない。模型のほうは復興記念展や博覧会に出されたもので、背景画を組み合わせたジオラマもある。戦前の世相などもしのばれてとてもタメになった。
2017/07/08(土)(村田真)