artscapeレビュー

ジョン・メイソン A SURVEY展

2017年08月01日号

会期:2017/07/07~2017/08/26

現代美術 艸居[京都府]

アメリカ現代陶芸の先駆者として、ピーター・ヴォーコスやケン・プライスと並び称されるジョン・メイソン。彼の1950年代から現在の新作まで33点(未公開作品を含む)を紹介する個展が行なわれた。作品のなかでもっとも古いのは、1950~60年代にかけてのアメリカン樂の茶碗や器。器の表面に生々しい指の痕跡が残る作品や、抽象表現主義絵画にも通じる激しい筆致の抽象的な絵付けが為された作品があった。1960年代の作品には、陶板をスタジオの床に投げつけて変形させたものや、陶板にアルファベットの型を押しつけたものがある。その後彼の作品は幾何学的な形態を帯びるようになり、近年は方形や円形の陶板を組み合わせた理知的なオブジェへと進化している。メイソンは1927年生まれなので、今年で90歳になる。さすがに現在は実作業の多くをアシスタントに任せていると思われるが、それでもこれだけ精力的に、しかもエッジの尖った作品をつくり続けているとは驚きだ。例えば画像の3作品は、2015年と16年のものだ。恥ずかしながら筆者は、本展を見るまでメイソンのことを詳しく知らなかった。彼の作品は同時代のアメリカ現代美術の影響を大きく受けているが、逆に彼がアメリカの絵画や彫刻に与えた影響もあるだろう。今後機会があれば、そのあたりも是非知りたい。


2017/07/11(火)(小吹隆文)

2017年08月01日号の
artscapeレビュー