artscapeレビュー
《文化駅ソウル284》《ソウル路7017》
2017年11月15日号
[韓国、ソウル]
日本統治時代につくられた旧ソウル駅舎は、現在、《文化駅ソウル284》と名づけられ、展示スペースなどに活用されている。ただし、駅そのものの歴史展示は面白かったが、企画展のコンテンツはまだハードに追いついていない感じがする。とはいえ、近代建築をまずはきちんと保存していることは重要だろう。使い方はこれからブラッシュアップすればよい。ちなみに、旧駅舎の正面広場で行なわれていた青空カラオケ大会の轟音が凄かった! そして、いまの市長が推進した今年誕生の新名所、《ソウル路7017》を体験する。1970年に建設された駅の線路をまたぐ車道だったものを、ニューヨークのハイラインのように、歩行者専用の公共空間に変えたプロジェクトである。国際コンペに勝利したMVRDVが設計を手がけ、円筒をモチーフに植栽、キオスク、垂直導線など、各種の機能を散りばめ、新しい観光地となっていた。東京の日本橋と首都高の議論の場合、こういうダイナミックな発想がないことは残念である。
写真:上=《文化駅ソウル284》 下=《ソウル路7017》
2017/10/19(木)(五十嵐太郎)