artscapeレビュー

小野祐次「Vice Versa ─ Les Tableaux 逆も真なり ─ 絵画頌」

2019年01月15日号

会期:2018/12/12~2019/02/02

シュウゴアーツ[東京都]

フェルメールの《真珠の耳飾りの少女》をはじめ、レンブラントの自画像、ルーベンスによる肖像画、モネの《印象・日の出》、セザンヌの静物画などを額縁ごと撮った写真。といってもすべてモノクロで、なにが描かれているかほとんど判別できない。これらは美術館に注ぐ自然光の下で撮影したものだが、図像の代わりに絵具の盛り上がりやキャンバスのたるみ、ひび、修復跡などが浮かび上がってくる。画集などに載る絵画の写真が色彩を中心とする画像の再現に注力するのに対し、小野の写真は絵画の物理的状態を露わにする。つまり絵画を平面としてではなく、立体(またはレリーフ)として写し出すのだ。色彩と形態から成り立つ絵画が真であるならば、彼の写真もまた絵画のもうひとつの真の姿なのだ。


関連レビュー

小野祐次「Vice Versa─Les Tableaux 逆も真なり─絵画頌」|飯沢耕太郎:artscapeレビュー

2018/12/22(土)(村田真)

2019年01月15日号の
artscapeレビュー