2022年12月01日号
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artscapeレビュー

豊田市の現代建築

2022年04月15日号

[愛知県]

豊田市美術館の企画として、「豊田市の現代建築~美術館と2024年にオープンする博物館を中心に」のオンライン・レクチャーを行なった。これにあわせて改めて豊田市の現代建築もまわったので、いくつか紹介しよう。時期としては、槇文彦による《トヨタ鞍ヶ池記念館》(1974)から2024年に開館する《豊田市博物館》までの半世紀をとりあげた。この間の主要な公共施設は、実は市のホームページにおいて「豊田市の建築物一覧」で紹介されている。また筆者が芸術監督を担当したあいちトリエンナーレ2013にあわせて制作した『あいち建築ガイド』(美術出版社、2013)でも、特別に豊田市のページを設け、《トヨタ鞍ヶ池記念館》、谷口吉生の傑作《豊田市美術館》(1995)、黒川紀章の「恐竜橋」とも呼ばれた《豊田大橋》(1999)と可動式の大屋根をもつ《豊田スタジアム》(2001)、韓亜由美の《豊田ジャンクション》のカラーデザインや「テクノ・フォレスト」構想(2002)、そして妹島和世によるぐにゃぐにゃのガラス建築、《豊田市生涯学習センター逢妻交流館》(2010)の解説が掲載された。



槇文彦《トヨタ鞍ヶ池記念館》



《豊田市美術館》から見る《豊田大橋》と《豊田スタジアム》



妹島和世《逢妻交流館》


レクチャーのために年表を作成して気づいたのは、意外に1980年代の建築が少ないこと。《豊田市民文化会館》(1981)くらいである。したがって、いわゆるポストモダンのデザインが少ない。《豊田自然観察の森 ネイチャーセンター》(2010)は、《大阪中之島美術館》(2022)を手がけた遠藤克彦がコンペで勝利し、設計した建築である。これは森へと続く、道の建築化をコンセプトに掲げ(そう言えば、中之島美術館のエスカレータの動線も印象的だった)、「く」の字型のヴォリュームを背中合わせに違う高さで交差させるフォルマリズム的な手法によって、さまざまな場を生みだしていた。なお、豊田市に拠点を置く建築家としては、ユニークな住宅を発表する佐々木勝敏が挙げられる。豊田市美術館の隣地にオープン予定の博物館は、コンペによって坂茂が設計者に選ばれたが、筆者はそのとき審査委員長を担当した。二次審査では、隈研吾、石上純也、studio velocity、佐藤総合計画・塚本建築設計事務所共同企業体も残っていたが、美術館のランドスケープを担当したピーター・ウォーカーを再起用し、博物館とつなぐ坂のアイデアはほかにないものだった。また20世紀のモダニズム的な空間を極めた美術館に対し、博物館の案では、木の構造を導入することで、21世紀的な建築を表現しようとしたことも特筆される。



遠藤克彦《豊田自然観察の森 ネイチャーセンター》



佐々木勝敏《志賀の光路》



豊田市博物館の模型(スタディ段階)


豊田市美術館オンライントークシリーズvol. 1 五十嵐太郎「豊田市の現代建築~美術館と2024年にオープンする博物館を中心に」

開催日:2020年3月13日(日)
アーカイブ(YouTube):https://www.youtube.com/watch?v=UAKu_Bz0qzg

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